2018年3月に閣議決定された「第3期がん対策推進計画」において、手術療法、放射
線療法、薬物療法に加えて、初めて免疫療法が明確に位置付けられた。第2分野別施
策と個別目標2.患者本位のがん医療の実現(2)がんの手術療法、放射線療法、薬
物療法及び免疫療法の充実の項(エ)科学的根拠を有する免疫療法についてのくだりが
それである。
また、大野智大阪大学准教授が、朝日新聞の医療情報サイト「アピタル」で医療・健
康情報を連載されておりますが、その中でEBM(Evidence Based Medicine)につ
いて、「科学的根拠に基づいた医療(EBM)は、「科学的根拠」「臨床現場の状
況・環境」「医療者の技術・経験を含む専門性」「患者の意向・行動(価値観)」の
4要素を考慮したより良い患者ケアに向けた意思決定を行うための行動指針」と定義
されております。大野先生は、同時に、「何が何でも患者の希望通りに治療すること
がEBMと言っているのではなく、医師の決定においては、患者に正確な情報が提示
され、患者自身が、その情報を十分に理解していることが大前提である」と述べられ
ております。
他方で、患者自身ががんについての理解を深めることの重要性を理解してもなかなか
適切な情報 にたどり着けない現実の難しさも存在致します。「無作為抽出による比較
対象試験」(RCT)の重要性を認識しつも、多くの患者の経験、置かれた状況から、
その限界 も理解する必要があるように思います。
この患者会のHP,FBでは、そうした環境を念頭に、関連情報の発信を心がけてお
りますが、免疫細胞療法を支える論文について採りあげられることが少ないことに鑑
み、上述の科学的根拠ついて、「がん治療新時代vol13」に掲載されている後藤重則
順天堂大学客員教授、滉志会 理事長、瀬田クリニックグループ統括院長による免疫療
法Q &A5(Q&Aシリーズの5回目)の「免疫細胞療法治療にはエビデンスがなく、
治療効果が証明されていないと言 われていますが、本当でしょうか」を紹介すると同
時に、そ の中に ある論文を順次紹介いたします。
今回は、がん治療新時代WEB がん免疫療法Q&A5を掲載します。→こちら
その中に掲載されているエビデンスレベルの7段階表(国立がん研究センター情報サー
ビス「診療支援」参照)を今後掲載する論文の位置を示すものとして使用する観点か
ら抜粋すると以下の通りです。