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患者のための新しい動き〜自由診療の再生医療を学会が評価へ

カテゴリー:お知らせ,事務局ブログ 2025.03.28

 

2025年3月に行われた「日本再生医療学会」の総会で、エビデンスや診療の質に乏しい再生医療が広がっている問題を解決するために、新たな取り組みが発表されました。

患者さん自身の免疫細胞を機能強化するがん免疫細胞治療も、日本では再生医療の位置づけで、多くの医療機関で自由診療として行われています。しかしながら、安全性を確認する方法や手順が一律には定められていないため、提供する医療機関によってその質がまちまちです。

2024年には都内のあるクリニックで免疫細胞治療を受けた患者さんが敗血症になって入院し、厚生労働省は管理者の医師などに改善命令を出すといったことも起こりました。治療に使う細胞を加工する施設などで、細菌が混入した可能性があるとされています。

また、医療において「エビデンス(科学的根拠)」はとても重要です。エビデンスがしっかりある治療は、多くの研究や実験を経て、その安全性や効果が証明されます。日本の自由診療の再生医療には、十分なエビデンスがないまま提供されているものが少なくないことも指摘されています。

こうした問題を解決するために、日本再生医療学会は「YOKOHAMA宣言2025」を公表しました。
この宣言では、自由診療の再生医療を以下の2つに分けることを提案しています。

1)検証型診療(エビデンスをしっかり確認する診療)
・科学的なデータをもとに、安全性や効果を確認する
・透明性が高く、第三者が検証できる
・国際基準に合った治療

2)無検証診療(エビデンスが不十分な診療)
・データに基づいた安全性、効果の確認を実施しない
・データの公開がなく、第三者が検証できない
・リスクの説明が不十分
・専門知識のない医師が提供している
・患者の利益よりも、利益追求が優先されている

学会は、今後「検証型診療」と認められた治療を公表し、無検証診療を抑制する仕組みを作っていく方針です。
この動きが進めば、患者は「どの治療が信頼できるのか?」を見極めやすくなり、安心して治療を受けられる環境を整えるための大きな一歩と言えます。

再生医療・細胞医療は、正しく提供されれば可能性のある治療法です。
だからこそ、安全で信頼できる治療が広まる環境整備を速やかに行ってほしいと思います。

 

【参考】

日本再生医療学会ホームページ https://www.jsrm.jp/news/news-16112/
日経メディカル記事  https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/202503/588044.html

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