お知らせ

がん個別化医療・ネオアンチゲンのテレビ番組情報

カテゴリー:お知らせ,事務局ブログ 2020.01.22

がん治療は、患者さん一人ひとりの特性に応じた「個別化医療」がどんどん進んできています。個別化医療、オーダーメイド医療など言い方はさまざまですが、どういったものなのでしょうか。

かつてのがん治療薬(いわゆる抗がん剤)は、例えばAという薬を10人に投与した場合、3人に効果があるということは分かっていても、なぜその3人に効くのか、また誰に効くのかは使ってみなければわかりませんでした。

近年、人の遺伝子が簡単に解析できる技術が進んだおかげで、がんは細胞の遺伝子に異常が起こってできること、また患者それぞれで原因となっている異常も違うことが分かってきました。そこで、がんの薬や治療法の開発は、ある遺伝子異常を狙って効くような薬を開発し、その遺伝子異常を持つ患者さんだけを選んで使うというように変わってきました。これががんの個別化医療です。

こうした個別化医療によって、効くか効かないか分からない治療をイチかバチかで使ってみて、効果が出なければ副作用だけ被るといったことが避けられるようになったのは、私たち患者にとって大きなメリットです。とはいえ、まだまだ原因遺伝子が明らかになっていないがん、薬の開発されていないがんも少なくないですが。

がん免疫療法にもこの「個別化医療」の波が来ています。今週土曜日に、以下のテレビ番組が放送されるそうです。

 

医療特番「がん治療は個別化医療へ 〜ネオアンチゲンが示す新たな選択肢〜」
2020年1月25日(土) 15:30から(MRO北陸放送)→番組表

 

以前のブログ(「NECががん免疫療法の開発に着手」)でも少し書きましたが、「ネオアンチゲン」というのは、免疫細胞ががん細胞を攻撃するときに狙う目印のようなもので、患者さん一人ひとりで違っていて、まさに「個別」のものです。

このネオアンチゲンを狙った新しい免疫療法の開発が世界中で行われていて、国内でも一部の医療機関で臨床研究や治療がスタートしているそうです。番組の詳しい内容はわかりませんが、このネオアンチゲンの治療ではないでしょうか。

テレビ番組はローカル局なので、エリア外では見られないですが、もしかすると放送後にYoutubeなどで見られるかもしれません。

ブログ記事一覧に戻る

「がん遺伝子パネル検査の実態調査→治療につながった患者は1割」

カテゴリー:お知らせ,事務局ブログ 2020.01.03

新年、あけましておめでとうございます。
当会会員の皆様、当ホームページを訪問いただいた皆様にとって、良い年になりますようお祈りします。

さて、がんが、正常な細胞の中の遺伝子に異常が生じて発生する病気だということは、一般の人にも徐々に知れ渡ってきました。

「遺伝子の異常」とひとくちに言っても、膨大な数の遺伝子のどこに異常が起こったかによって、がんの性質が変わってきます。2019年は、この遺伝子の異常を検査で見つけて、ひとりひとりに最適な薬を選択して、効果が高いがん治療を行おうという「がんゲノム医療」が本格的にスタートした年となりました。2020年はさらにこの流れは加速していくものと思います。

 

出典:国立がん研究センターがん情報サービス がんゲノム医療もっと詳しく知りたい方へ

そんな中、厚生労働省は、第3回がんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議(12月5日開催)で、19年6月に公的保険適用となった「遺伝子パネル検査」の実態調査の結果を報告しました。

遺伝子パネル検査の実態把握調査の報告(厚生労働省健康局 がん・疾病対策課)

それによると、6月1日~10月31日までの5ヶ月間でパネル検査を受けた患者は805人で、このうち新しい薬がみつかり、治療に結びついた患者さんは88人(約11%)だったそうです。

遺伝子パネル検査は、数百種類の遺伝子を調べて異常を見つけ、その結果に応じて新しい薬を見つけようとするもので、2種類の検査システムが公的医療保険で受けられるようになっています。ただし、その対象者は、がんが再発したり進行したりして標準的な治療がない患者さんに限られています。
11%とはいえ、もう打つ手がないと言われた患者さんがこの検査によって新たに治療が見つかったことは、大きな進歩でしょう。

ただし、このパネル検査で新しく見つかる薬は、適応外使用や未承認薬の場合も多く、公的保険が使えないので、その場合患者さんは自費で治療を受けることになります。分子標的薬などは、全額自費だと1ヶ月で100万円を超えるものも少なくありません。
保険で検査を受けて薬が見つかったと喜んだのもつかの間、その後のあまりにも大きい経済的負担が患者にとって大きなジレンマとなります。

もちろん、パネル検査を行っても手立てが見つからない9割の患者さんはどうするのか、ということも問題です。
がんゲノム医療は、がん治療の大きな変革であり画期的なことですが、スタートしたばかりで道半ば。今回の実態調査も踏まえて改善点を検討して、技術の進歩で可能になったがんゲノム医療を、実際に多くの患者さんに役立つものにしていただきたいと思います。

ブログ記事一覧に戻る