当会は、名称の通り「免疫の力」を用いたがん治療に注目し、患者立場として治療の普及啓発や情報共有に取り組んでいます
そうした一環として、2月22日(土)に東京大学 伊藤国際学術研究センターで開催された、第17回日本免疫治療学会学術集会に参加してきましたので概要ですがレポートします。
一般向けではなく、医療者による研究成果報告なので内容は専門的ですが、10数個の演題が発表され、がん免疫療法にまつわる最新の研究を知るには良い機会でした。
免疫の働きを基軸にしたがん治療は、オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害薬以外にも、さまざまあります。
今回の発表の中でも、免疫チェックポイント阻害薬のほか、CAR-T細胞療法、光免疫療法、免疫細胞療法、ペプチドワクチンなどそれぞれの分野で、さらに効果的な治療を開発しようとする医師や研究者の最新の取り組みが紹介され、がん免疫療法の広がりを感じました。
がん免疫療法は、その手法は色々ありますが、ようは、「体の中で、免疫細胞がきちんとがん細胞を見つけ出し、攻撃できるようにする」ということを目的にしています。
そもそもわたしたちの体は、そういう働きを持っているのですが、がん自身が免疫の攻撃から逃れようとする力などによって、攻撃が上手く行っていなかったりするのです。
そして、会では「がん免疫療法」に共通する現在の課題について、それをクリアするための取り組みが報告され、意見交換がなされていました。
- 免疫チェックポイント阻害薬なども20〜30%程度の患者さんにしか効かないが、効かない場合の理由がまだはっきりしていない。
- 効果が見込める患者さんとそうでない患者さんを事前に判別する方法がまだない。
- がん細胞を免疫細胞に攻撃させる際の、がん細胞だけがもつ有効な目印を見出すのに苦労している。
- 抗がん剤などと同様に、がん細胞が治療への耐性をもつことがある。
- 免疫の力を強めようと免疫細胞を培養・増殖すると、その細胞が疲弊してしまう。
- 患者さん自身の免疫細胞(自家細胞)を採取して強化して治療に使うと時間・費用ともにかかる。一方、他人の免疫細胞(他家)によるiPS細胞などを使うと、拒絶反応が起こる。
こうしたそれぞれの課題を解決するために、がんセンターや大学病院等の先生方が、さまざまなアイディアと努力により、研究を進めてくれていることが見て取れました。
研究段階の内容ですし、専門的な部分も多いので(私自身理解が追いつかないところもあり!)個々の詳しい内容は書きませんが、こうした研究成果がいち早く実際の治療として患者に届くよう、期待しています。