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「科学的根拠を有する免疫療法」その科学的根拠を問う (その5)

カテゴリー:お知らせ,事務局ブログ 2018.08.20

 

このシリーズの初回にご紹介した「がん治療新時代WEB」 がん免疫療法Q&A(Q&Aシリーズの5回目)
でreferされていた論文については、その1~その4(前回)までですべてカバーされ、終了致しました。

今回は、リアルワールドエビデンスが、注目される中、免疫細胞療法で最大の治療数/約2万人を持つ、瀬田クリニックグループによる、胃がんのRetrospective Study胃がんの論文(Takimoto et al:Immune-callTherapy for gastric Cancer)をご紹介いたします。この論文は、レベル IIIです。

「Efficacy of Adoptive Immune –cell Therapy in Patients with Advanced Gastric Cancer: A Retrospective Study」→こちら

また、この論文を材料に水海道西武病院副院長の秋山七千男医師が、お茶の水で行われた第2回市民セミナ-の講演「エビデンスがないと言われている免疫療法で分かってきで、この論文を採りあげております。その部分の抜粋が以下quote/unquoteです。

quote

これは瀬田クリニック新横浜の瀧本先生がまとめてくださったものです。1999 年4 月から2016 年9 月までの胃癌、957 例の患者さんの中で初診時、ステージ4 の242 例です。Tablel 患者さんの背景242 人中、手術したのは107 入、放射線治療は21 人、化学療法は213   人の方が受けています。転移している部位は、肝臓、リンパ節、肺、腹膜、骨などです。

Figure2     242例の患者さんがどの位生きていらっしゃるかをあらわしています。

 

 

縦軸が生存割合、横軸が診断後の生存月数です。3 年生きているかたが29.9%、5 年生きている方が11.8%です。一方、がんセンターが集計しているデータでは免疫治療を受けていない方で3 年生きている方は10.8%、5 年生きている方は7.3%です。それと比較し免疫治療を受けている方3 で年生きている方は2.7 倍、5 年生きている方は1.6 倍です。化学療法では、各薬で治療を始めた時にステージ4 でその後3 年目、5 年目の生存率のデータを私は見たことがありません。耐性の問題があり存在しないかもしれません。

Figure6    242 例のうち解析可能な156 例です。

 

縦軸が生存している割合,横軸は診断されてから生きている月数を表しています。 効果判定は免疫治療6 回終了時に行いました(治療開始1後2   週位)部分奏効と安定が100 例、進行が56 例
3 年生存率は31.6%、18.8%ですが なんと5 年生存率は9.7%、9.4%とほとんど変わりがありません。進行のPD の患者さんでも免疫治療を行ったことで1約割のかたが5 年以上いきられているのです。

Table5    5   年以上生きていた方、生きている方です。

全身状態、免疫治療回数、免疫治療の種類、その他の治療、生きている月数
 長期間生存されている方は、免疫治療回数もし、多かと思って いましたが12 人中5 人が 6·7 固と初めの3 か月の治療期間のみであったのが意外でした。私が普段の診察で経験するのは、患者さんに調子はどうですかと尋ねると、病気は良くなっているかわからないけど体調は良いと答えられる方が沢山いらっしゃいます。それに 対し化学療法の患者さんは、医師かCらT で腫揚が小さくなっていますとか臆蕩マーカーが下がってきましたと言われるまでご本人は良くなっているかどうか わかりません。また化学療法だけの患者さんはいつも病気を治そう、治そうとしています。最初の治療に使った抗がん剤が効かなくなっ,第て2,第 3 の抗がん斉lj も効かないというあたりで、抗がん剤治療は断念されることになります。進行癌の標準治療においては、抗がん剤治療が唯一であるから、治療そのものが断念されることになります。それに対して免疫療法を行っている患者さんは病気が治っていなくとも、病気とうまく 共存できていると感じて日々の生活を送っている方が多くいらっしゃるように思います。 そのような方は病気が治らない,治らないと生活しているかたより、病気から距離を置 いた生活をしていると思います。

つまり、生活の質の問題です。

unquote

秋山先生は、後段、生活の質(QOL)を論じられています。『患者からすると、がんが縮小しマーカーが下がることは大事ですが、本人の自覚として良くいなっているという実感がないのは、大きな問題だと思います。加えて、一定期間でがんの縮小から再び拡大、マーカーも上昇し次の抗がん剤に移り、やがて、手が尽きると言うケース=がん難民の問題が取り上げられて久しい一方、3大療法のみでは、なかなか解決策が見つからない状況が続いていている現実があります。

「がんで死なないがん患者」という表現をされる方もいらっしゃいますが、該当するケースは決して少なくないように思います。』

秋山医師は、第一回市民セミナーにおいて免疫細胞療法の方かについて、ご自身の経験、また御友人の経験をもとに具体的に語られております。(講演原稿⇒こちら) この講演で、がんに罹患し末期状態になってから免疫療法を始めても全身状態の向上が見られたケースとして友人の例が語られております。また、秋山先生(手術、化学療法)ご自身及び奥さま(手術)は、免疫療法を続けて15年が経ち、これからも年4回一生続けられる方針である由。ご両名とも元気に活動されております。また、講演では、進行がんに対する手術後の再発予防としての役割、全身状態/免疫状態を整え、手術、化学療法、放射線療法と組み合わせる役割、QOLを保ちながら、がんと共存するうえでの効果など、医師としての経験を踏まえ、話されておりました。患者のとっての治療の効果(患者の価値観)に重点を置いた治療が進展することを期待すると同時に、免疫細胞療法の健全な進展を願うところであります。 

 

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